下北沢(東京・世田谷)の商店でスマホ決済ができる電子地域通貨「シモキタコイン」の終了が決まった。加盟店に株主となってもらい、「若者の街」の経済を盛り上げるビジョンを掲げたが、利用は伸び悩んだ。予算が潤沢な世田谷区が自ら地域通貨に乗り出し、競合勢力となったことも痛手だったと振り返る。
西山友則氏
東京・下北沢で使える電子地域通貨「シモキタコイン」は、2023年5月31日でサービスを終了します。18年9月の開始から5年近く。下北沢の街を活性化するために挑戦を続けてきましたが、残念ながら力及ばずという結果になってしまいました。
下北沢との関わりは、10年以上になります。06年に顧客情報管理サービスを手掛けるパイプドビッツ(東京・港)に入社した私は、11年から地域プロジェクト「I LOVE下北沢」の担当になりました。
ウェブサイトやアプリ上で、下北沢のお店情報などを発信。「下北沢カレーフェスティバル」や「呑み歩き」イベントなどを企画・運営し、17年には親会社パイプドHDの子会社としてアイラブ(東京・世田谷)を設立。社長に就任しました。
シモキタコインを始めたのは、下北沢というエリア内で、お金が循環する仕組みをつくりたかったからです。アイラブの事業を通じて500以上の店舗とつながりを持てていたこともあり、地域通貨を導入することで、下北沢の経済をさらに盛り上げたいという思いがありました。
シモキタコインは、スマホアプリでQRコードを読み取って決済します。今でこそ「PayPay」などが普及して身近になりましたが、シモキタコインの開始当初、特に地域通貨でこの決済方式を採用するのは、まだ珍しかったのではないでしょうか。
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